「磯野家の謎」の内容

磯野家といいますと、日本人ならばたいていの方ならば簡単に構成人員をイメージすることができる、いわば日本を代表する家族であります。
しかし、磯野家には様々の謎があり、その謎を追求するのがこの単行本です。

磯野家の謎は2011年に発売された、東京サザエさん学会が著したものです。
東京サザエさん学会とは、ロンドンのシャーロック・ホームズ(コナンドイル著)のファンが集まり、シャーロックホームズを研究する団体(シャーロック・ホームズ協会)にならって創設された団体であり、略称は「TSG」であります。

この略称である「TSG」も、磯野波平が加入していた「都下禿頭会」(とかとくとうかい)の略称である「TTK」に倣うという、しゃれの効いたサザエさんフリークの集まりなのです。
また、東京サザエさん学会の学会員たちはイソニアンと呼称しているようです。

東京サザエさん学会の代表者は慶応義塾大学文学部教授である岩松研吉郎氏であり、アニメーションのサザエさんは研究の対象とはしていない。
あくまで原作を崇拝する団体である。

サザエさん自体、四コマ漫画であり原作者の長谷川町子氏もここまで深い設定でキャラクターを設計したものではありませんが、実際に何でと尋ねられると、答えることができない磯野家の深い謎について、この単行本は書かれています。
そこまで深く考えて、サザエさんを読んでいる方は多くはないと思いますが、東京サザエさん学会員でありイソニアンと呼称される方々が、徹底的に磯野家の謎を追求していくのです。

読みやすく書かれています

短編形式になっており、一つ一つ謎を解説していきますので、大変読みやすい内容となっています。
一昔前の日本の伝統的な平凡な家庭であるサザエさんも、個性的な一家である可能性がしめされており、実はサザエさんって奥深い話なのかもしれないと、読んだ方は思うようです。

昭和という時代をサザエさんと共に生きた方々が、平成という時代に違和感を覚えるようであれば、この単行本はしこりをとるという意味で、本当に有用です。
サザエさんを通じて戦後史を分析していくというのが、この単行本のもう一つの側面であります。

日本の箱入り娘として、無智で素直な女の子の見本として描かれていたワカメが、大阪万博を機に、新しい知識、例えばおしゃれに目覚めていくといった、戦後の日本人女性の変化を表現しているようです。

ただのネタ本ではありません

前述のとおりサザエさんと、磯野家を通じて、日本の価値観が一気に変わった戦前と戦後をサザエさんは描いているのです。
そのような大衆文化である四コマ漫画からここまで、日本の価値観の変化について研究している東京サザエさん学会は、ネタに走りつつも、たまには真剣にサザエさんを研究しているようです。

日本の価値観は昭和から平成に至るあたり、大きく変化しました。
そのような変化を楽しむために、磯野家の秘密は有意なものです。

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